美容整形モニター
「やっぱり散歩は気持ちいいな」
タカオは、気分転換のために町を散歩していた。
すると、
「美容整形モニター募集」
とデカデカと書いてある看板があった。
タカオは、美容整形に興味があるのだ。
そんなにブサイクという訳ではないのだが、以前から目を整形してみたいと思っていたのだ。
「モニター募集ってことは、半額とか無料になるのかな? ちょっと入ってみるか…」
タカオは、建物の中に入っていった。
「いらっしゃいませ」
店員があいさつをする。
タカオは、
「あの、モニターの内容をききたいんですけど」
と言った。
すると、店員は、
「ただいま、モニターになられますと、すべてのメニューが99%OFFとなります。
詳しい説明は、奥の1番の部屋でやっております。」
と言った。
「ほー99%OFFか、凄いな」
タカオは、奥の部屋へ向かった。
さっそく、ドアを開けて中に入ってみると、男の人が座っていた。
男は、
「いらっしゃいませ。モニターですね。ここに説明が書いてあるので、じっくり読んでみてください」
と言ってタカオに紙を渡した。
タカオは、さっそく読んでみた。
「えーっとコース内容は…と、目の整形に、鼻の整形に、身長伸ばし……えっ? 身長伸ばし! なんだこれ!」
すると、男は、
「はっはっは、驚かれましたか」
と言って笑った。
タカオは、
「身長伸ばしって何ですか?」
ときいた。
すると、男は、
「文字通り身長を伸ばす事が出来るんですよ」
と言った。
タカオは、
「そっ! そんな事できるのですか?」
ときいた。
男は、
「それが簡単に出来るんですよ。この薬でね。副作用は全くないですよ」
と言って白い錠剤を出した。
見た感じ、ラムネっぽい。
男は、
「ちなみに、薬の名前は、『身長のびーる』です」
と言った。
ベタな名前だ。
タカオは、
「これを飲めば、どれくらい身長がのびるのですか?」
と言った。
男は、
「1錠で約5センチかな?」
と言った。
タカオは、
「凄いな…でも、これって美容整形じゃないような…」
と思った。
ちなみに、タカオの身長は、160センチ。
ちょっと不満だ。
タカオは、
「とりあえず2錠だけ薬飲ませてください!」
と男に言った。
すると男は、
「はい、どうぞ」
と何の手続きもなく簡単に薬を渡してくれた。
なんか、いい加減な人だ。
タカオは、さっそく薬を飲んでみた。
「ゴクッ!!」
すると、1分もしないうちに体に変化が起きる!
ググッグググッ!!
ううっ! 身長が伸びているのがわかる!!
10センチほど伸びたようだ。
タカオは、思わず、
「すげー!!」
と声を出した。
しかし、何か変な感じがする。
「あれっ…………胴だけ伸びてる……」
すると、男は、
「あっ! ゴメンゴメン! 間違えた! その薬は、『胴のびーる』でした」
と言った。
タカオは、
「えっ! 間違えたんですか! ちょっと、どうにかしてくださいよ!」
と言った。
男は、
「まあまあ、安心してください。薬の種類は、たくさんあります。この、『足のびーる』という薬を使えば、
足だけを伸ばすことが出来ます」
と言った。
タカオは、薬を2錠もらった。
「今、身長170センチだから、この2粒で足を10センチ伸ばして180センチか…」
タカオは薬を飲んだ。
「ゴクッ!!」
すると、また1分もしないうちに体に変化が起きる!
ググ…グググ…ん? 今度は、さっきと何かが違う。
あれっ?
縮んでる…
10センチほど縮んで元の160センチに戻ったようだ。
しかも、胴はそのままで、足だけ短くなったようだ。
すると男は、また、
「あっ!!」
と言った。
そして、
「ゴメンゴメン! 間違えた! その薬は、『足短くなーる』でした」
と言った。
タカオは、
「ちょっと! また、間違えたんですか!」
と怒った!
当然だ。結果的に足が10センチ短くなっただけなのだから。
何もしなくても腰パンしてるように見える。
タカオは、
「これじゃ最悪じゃないですか!」
と言った。
男は、
「ゴメンゴメン。ちょっと待って…今から真剣に探すから…」
と言った。
今まで、真剣じゃなかったのか…
男は、引き出しを調べて、
「これだ! はい!」
と言ってタカオに薬を渡した。
タカオは、
「今度は大丈夫でしょうね?」
と言って、薬を飲んだ。
しばらくすると、また体に変化が起きる。
ググ…グググ……あれっ?
さっきよりもさらに、足が短くなったようだ。
しかも、身長は160センチのまま。
「ちょっと! また足、短くなりましたよ!」
と、タカオは叫んだ!
すると、男は、
「あっ! ゴメン!! その薬は、『さらに足短くなーれ』でした」
と言った。
タカオは、
「さらに足短くなーれ! って何ですか! 僕に言ってるんですか!」
と怒った。
男は、
「なんでだろ? おかしいな?」
と言って、もう一度引き出しを調べ始めた。
「えっとーこれは、『出っ歯になーる』、これは、『近視になーる』、
これは、『物忘れが激しくなーる』、これは、『老眼になーる』、これは、『やる気がなくなーる』…」
タカオは、
「変な薬ばかりじゃないですか…本当に美容整形の専門家なんですか?」
と言って男をにらんだ。
すると、男は、
「当たり前じゃないですか。あっ! ありました! この薬、『体型よくなーる』です」
と言って薬を渡した。
タカオは、大丈夫かな? と思いながら薬を飲んだ。
「……ゴクッ!!」
しばらく待ってみる。
しかし、何の変化もないようだ。何でだろう?
すると男は、
「あっ、すいません。それ、ラムネでした」
と言った。
「えー!!」
タカオは、コケそうになった。
すると男は、
「よく間違えるんですよ。さてと…私もラムネをひとついただきます」
と言って、
「パクッ!!」
と食べた。
あんた、仕事中だろ…
すると、男の様子が急に変化した!!
「グ!…………グガッ!!………グガガッ!!」
また、薬を間違えたようだ。
タカオは、
「これは、やばいぞ…たぶん、『ゴリラになーる』とかじゃないのか?」
と思った。
すると、男は、
「グガッ! グガガーーーーー!! ってうそです」
と言った。
タカオは、
「ちょ! ちょっと、ふざけないでくださいよ!!」
と顔を真っ赤にして怒った。
男は、
「まあ、そんなに怒らないで。これが、本物の『体型よくなーる』です。
と言って、タカオに薬を渡した。
タカオは、
「今度こそ本当に大丈夫なんでしょうね?」
と言って薬を飲んだ。
すると、
ググ! グググ!!
どんどん体型が変化してくる。
足の長さも丁度になった!
「よかった。今度は、バッチリだ!」
タカオは、満足した。
男は、
「まだ、何か試しますか?」
と、きいてきたので、タカオは、
「もういいです。僕、これで帰ります」
と言って帰ろうとした。
すると、男は、
「ちょっと! お支払いを忘れてますよ!」
とタカオを止めた。
忘れてた。99%OFFだ。
男は、
「今回は私のミスが、かなりあったので、『体型よくなーる』の代金だけでいいです」
と言った。
タカオは、
「それで、いくらなんですか?」
ときいた。
すると男は、
「通常価格10億円のところ、99%OFFなので、1000万円です…」
(おしまい)