正義の味方  





「おい! 金だせよ!」
マモルは2人のチンピラに、からまれてしまった。
「お金持ってないよ!」
マモルが、ウソをつくとチンピラは、
「財布持ってるんだろ! 出せよ! この野郎!」
と言って、マモルのポケットから強引に財布を抜き取った。
そして、中を調べて、
「へへっ、2万も持ってるじゃねーか!」
と言ってニヤッと笑った。
チンピラは、お金を奪うと走り去っていった。
「いてて…ちくしょー!」
マモルは、地面を叩いた。
その時! 遠くから変な格好をした男が走ってきた!
「タッタッタッタッタッ!!」
男は、マモルの近くで止まると、
「くそっ! 遅かったか!」
と舌打ちをした。
マモルは、
「あんた誰?」
と男に訊いた。
すると男は、
「いきなり驚かせてすいません。僕は正義の味方です。名前はヒーローと言います」
と言った。
マモルは、
「何だ? この人?」
と思った。
ヒーローは、
「奴らは、この辺でよくカツアゲをしているんです。もし、今度ピンチになったら、
僕を呼んでください」
と言った。
そして、小さなスイッチを、マモルに渡して、
「そのスイッチを押せば、いつでも僕が助けに来ますよ!」
と言った。
マモルは、ポカーンとしている。
ヒーローは、
「あと、困った時は、ここに来てください」
と言って、マモルに紙を渡した。
紙には、
「正義の事務所」
と書いてある。
住所が書いてあるが、なんかインチキ臭い。
ヒーローは、
「それでは、またいつか会いましょう」
と言って、走り去っていった。
マモルは、
「…何だあの人……」
と思った。
そして、さっき貰ったスイッチを見て、
「正義の味方か……ちょっと試しに押してみるか……」
と言ってスイッチをポチッと押してみた。
すると遠くから、ヒーローが一生懸命走ってやってきた。
「ハア! ハア! どうかしましたか?」
そこで、マモルは、
「まだ、名前を訊いてなかったんだけど」
と言った。
ヒーローは、
「あの、さきほどヒーローって言ったんですけど。すいませんが、呼ぶのはピンチの時だけにしてください。それでは、また!」
と言って、走り去っていった。
「本当に来るんだな。あの人」
マモルは、少し感心した。
そして、1分も経たないうちに、もう1回スイッチをポチッ! と押してみた。
すると、ヒーローが、また遠くから走ってきた。
「ハア! ハア! どうかしましたか!」
ヒーローは、息苦しそうだ。
マモルは、
「名前の事なんだけど、ヒーロー と ヒーロ どっちなのかなと思って…」
と言った。
すると、ヒーローは、
「そんなの ヒーロー に決まってるじゃないですか! ヒーロ の訳ないでしょ!
伸ばすんですよ、ローって! 正義の味方ですよ! 呼ぶのはピンチの時だけにしてください! それでは!」
と言って走り去っていった。
ちなみに、走り去っていく途中で1回だけ転んだようだ。
相当疲れているのだろう。
マモルは、
「頼りなさそうだな…」
と思った。

次の日、マモルが道を歩いていると、
「おい! 久しぶりだな!」
という声が聞こえた!
振り向くと昨日のチンピラ2人組だ!
「うわっ!!」
マモルは、びっくりした!
チンピラは、
「おい、金持ってるんだろ? 出せよ!」
と言った。
マモルは、
「もう、持ってないよ!」
と言った。
すると、チンピラは、
「よーし! それなら全身を調べさせてもらうぜ!」
と言ってマモルの体を強引に調べ始めた!
「やめろー!!」
マモルは、暴れながら、ある事を思い出した。
「そうだ! ヒーローを呼ぼう!」
マモルは、スイッチをポチッと押した!!
すると、間もなく遠くから足音が聞こえてきた。
「タッタッタッタッタッ!!」
ヒーローがやって来た!
ついに活躍の時が来たようだ。
ヒーローは、立ち止まってチンピラをにらむと、
「おい!」
と言った。
すると、チンピラは、
「誰だ! お前!」
と言った。
ヒーローは、
「正義の味方だよ! 悪党どもは生かしておかん!」
と強気に言った。
チンピラは、
「あ? 何だてめー! ふざけんなよ!!」
と言ってナイフを出した!!
ナイフがキラッと光る!!
すると、ヒーローはビクッ! と少し後ずさりした。
チンピラは、
「おい! コイツが暴れてしょうがないんだ! 足を押さえろよ!!」
と言った。
すると、ヒーローは、
「はい!」
と返事をして、マモルの足を押さえた。
完全にびびってる。
マモルは、
「おい、お前! 何やってるんだ! 助けろよ!」
と言った。
すると、ヒーローは、
「うるさい! おとなしくしろ!」
と言って、マモルの頭を、
「ポコン!」
と叩いた。
こいつ、本当にヒーローか?
そして、自分のポケットからひもを出して、
「足縛ります!」
と言ってマモルの足を縛った。
もう、ヒーローでも何でもない。
完全に裏切ってる。
チンピラは、
「おい、こいつの手も縛れよ!!」
と言った。
すると、ヒーローは、
「はい、了解しました!!」
と返事をして、マモルの手を縛った。
完全に子分になってる…。
マモルは、
「おい! バカ!! 助けろよ!!」
と言った。
すると、ヒーローは、ポケットから油性マジックを出して、マモルの額に、
「肉」
と書いた。
余計な事をする奴だ。
マモルは、
「バカ!! 助けろよ!」
と言った。
すると、ヒーローは、さらに油性マジックで、マモルのまぶたに目のラクガキを描いた。
これで、目が閉じていても開いているように見える。
マモルは、
「コラッ! 何やってるんだお前! 助けろよ!!」
と言って、まぶたをパチパチさせた!
しかし、ずーっと目が開いているように見える。
コントのようだ。
チンピラは、
「くそ! どこに金を隠しやがったんだ!」
と苛立っている!
すると、ヒーローは、
「たぶん、ここじゃないですか?」
と言って、マモルの靴を脱がした。
マモルは、
「あっ!」
と叫んだ!
すると、靴の中敷から1万円が出てきた!
チンピラは、
「こんな所に隠してたのか! おい、お前役に立つ奴だな!」
と言った。
すると、ヒーローは、
「いやーどういたしまして。喜んでいただいて嬉しいですー!」
と言って営業スマイルをした。
調子のいい奴だ。
チンピラは、
「それじゃ、またな!」
と言って1万円を奪って去っていった。
ヒーローは、
「よろしくどうぞー! お気をつけてー!」
と言って元気一杯に手を振った。
そして、チンピラの姿が見えなくなると、
「ちっ! 逃げ足の速い野郎だ…」
と舌打ちをした。
ヒーローは、マモルの方をチラッと見た。
マモルは、
「おい、こらっ! ひもを解けよ!」
と言った。
ヒーローは、言われたとおり、マモルのひもを解いた。
マモルは、ゆっくり立ち上がって、
「…ねえ君。なんて名前だっけ?」
と言った。
「僕は…ヒーローです…」
すると、マモルは、
「お前……ふざけんなよ!!」
と言ってヒーローを殴ろうとした!
すると、ヒーローは、それをヒョイ! とかわして逃げた!!
ヒーローが逃げた!!
マモルは、ヒーローを追いかける!!
ヒーローは、必死に逃げる!!
マモルは、必死に追いかけたが、どんどん離されて見失ってしまった。
「ハア! ハア! くそっ! 逃げ足の速い奴だ!!」
そこでマモルは、ふと、あることを思い出した。
「そういえば、住所の書いてある紙あったな…」
マモルは、住所を調べてそこに行ってみた。
すると、

「正義の事務所 営業中止」

と書いてあった…



(おしまい)




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